脳内幻想　-そうさ夢だけは-

ファンタジーの和訳は幻想、でいいのだろうか。
人間が認識している、と思い込んでいるものはあくまで脳が
そういう風に処理しているだけのものである。

視覚情報を例にとって考えてみれば分かる。

目をデジタルカメラに置き換えたら2億画素という恐ろしい
精度な訳で、それが間断なく情報として入ってくる。
これをそのまま扱うと情報の洪水でえらいことになる。

なので人間が脳内で認識しているのは、かなーりいいかげんな
ものであるといっていい。例えばこんな感じである。

■■■■■　＿|＿|＿|＿|＿
■■■■■　＿|＿|＿|＿|＿
■■■■■　＿|＿|＿|＿|＿
■■■■■　＿|＿|＿|＿|＿
■■■■■　＿|＿|＿|＿|＿　

左の十字の交差部には灰色の丸が浮かんで見えるし、
右の十字のところにはなんか楕円が見える。
そんなわけで実際には同じ物や存在しないものを人間は勝手に
認識してしまうのだ。逆に存在してるのに見えないものもある。

他人の意識なんかも実際にはわからない。
意識なんか全て感じ取れたとしたら情報量過多で発狂するぞ多分。

それでも人間は他人と分かり合おうとする。
一部は分かり合えるが、全ては分かり合えない。絶対にだ。

どれだけ好きあってると思っていてもそれはあくまで思い込みだ。
最も両方がそう思い込んでいれば幸せだ(ていうかそりゃ好き
あってるんだろう)けど。

その反対にみんなに嫌われてると思い込んでりゃ、そりゃもう
えらい不幸なわけなんだけど、ふつうはそこまで行かなくないか？
もし本当にそうなら周りの奴全員攻撃しないといけなくなる。
片っ端から攻撃する体力のある人はそうはいない。
つーか無茶苦茶疲れるので素人どころかプロにもお勧めできない。

人間は思い込みでしか世界を認識できない。

所詮人間の脳内なんて、脳内天動説小宇宙（自己中心的にしか
世界を捉えられない）が入ってて、そいつを通してしか世界の
姿を見ることが出来ないわけでさ、
「や、物質的にはこうだから」
といわれても生理的に納得いかないもんだ。

でもやっぱり物性って決まっていて、生理的に納得いかなくても
そういうもんなんだからどっかで割り切るしかない。

物性のほうを信じるか脳内のほうを信じるか。
多分普通に生活して行く上では、脳内信じてても問題ないと思う
けど、そうでない科学者なら腹くくれと。
…腹くくる人は全体の数パーセントだとは思うけど。

人間が巨大な力や自然を感じた時に、それを神や精霊に置き
換えるのも脳内小宇宙のなせる技といえるが、でも巨大な力や
自然は現実に存在している。
現実存在を空想存在に置き換えるのも人間の能力の1つだ。

…最近では炭やOSにも精霊が宿ってるようですが。
まぁぶっちゃけベーオウルフとか参照すると、剣に話し
掛ける人もいたっぽいし。
むしろこの場合の剣はどっちかってと擬人化した相棒だな。

ギリシャでは美しい像に恋焦がれて神に像を人間に変えて
もらった話もあった。
ピグマリオン効果として名前が現在にも残っている。
人以外を好きになる話なんていくらでもあるだろ。夕鶴とか。
座敷童子なんかも子供のいない老夫婦の見た幻なのかもな。

ただ、空想上の存在は必ず存在しないといえるだろうか？
16世紀に、無理やり空想生物作って存在が残るかどうか調べた
人たちがいたが、やっぱりインパクトなくって現在では
忘れられてしまったようだ。

ドラゴンやホームズ、ゴジラやシャアみたいなのはそうは居ない。
そこまで残るとしたらもはや彼らは存在しているのだ。
…人々の心の中に。

時として人間以上に人間臭い空想上の存在は、人間よりも
恋愛対象になりうることはありうるんじゃないか？
それで幸せを感じられるならええじゃないか。

よく恋愛してる人から、βエンドルフィンやドーパミンが
高いレベルで放出されているというが、だとしたらそれと
同じことが空想存在に恋愛感情を抱く人にも起きるかもしれない。

その先には何があるだろうか？
空想存在や物にすら愛情感じられるなら、現実に存在する
ものを自分の好みに脳内最適化できればもうなんでもあり。
最終奥義修得だよ。

ただ危険すぎるので、使い方には要注意な。
妄想と現実の区別がつかなくなったらえらいことに。
(空想相手だったら基本的に問題はないと思うが、相手が実在だとまずいかも…)

しかしそこまでいってしまったら、相手はもう誰でもどころか
何でも良くなってしまうことにならないか？
…もし相手もそうできるとしたらどうだろう。
妄想転生でもなんでもいいけど、最終奥義を修得した二人の
間にこそ見える何かがあるかもしれないとふと思った。

top